デジタルカメラWEBマガジンデジカメの教科書
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「カメラの性能はレンズで決まる!」という人もいます。
では、どんなレンズが良いレンズなのか?
上級者ほど、明るいレンズでカメラを選ぶ、という傾向にあるようです。
明るいレンズ、それはカタログの「F値」(開放F値)を見ると解ります。
2台のカメラを比較するとF値が違う…
どちらのカメラの方がレンズ性能がいいのだろう?
F値がどのように写真に影響するのだろう?
そこのところの読み取り方を今回は解説します。
というわけで、F値のしくみの前にいきなり実践編として、「デジカメ選びにおけるF値」をお話しします。
まず、前述の通り「F値が少ない方がレンズが明るい」ことを覚えていてください。
したがって、2台の機種をF値"だけ"で比べるとしたら、F値の数値が少ないカメラや、F値の数値が少ないレンズの方が性能が高いと言えます。
具体的にみてみましょう。
ここに2台のコンパクトデジタルカメラがあります。
オリンパスの「XZ-1」とニコンの「COOLPIX AW100」です。
どちらも私がプライベートで愛用している機種です。
それぞれの機種に付いているレンズの性能のひとつ、明るさが「F値」で表されています。
仕様表を見ると、それぞれ「開放F値」という欄に
カメラ | 開放F値 |
オリンパス XZ-1 | W1.8〜T2.5 |
ニコン AW10 | f/3.9-4.8 |
と書かれています。メーカーが異なるせいか表記の仕方に共通性がないのでユーザーは戸惑いますが、このW1.8〜T2.5、f/3.9-4.8がそれぞれのレンズの明るさ「F値」です。
XZ-1のレンズのF値は1.8〜2.5です。
これは、F1.8からF2.5の間で変化すると言うことを意味しています。W1.8のWとはワイドのことで、ズームの広角側ではF1.8の明るさであり、ズーム機能を使って望遠側(Tはテレの意味)にするとF値はF2.5に下がる、というわけです。
AW100のF値はf3.9〜4.8です。
「f」もF値を示しています。これも表記の仕方は異なりますが、同様にズームの広角側ではF3.9であり、望遠側にするとF4.8になることを意味します。
さて、両方の機種を比べた場合、数値が少ないXZ-1のレンズの方が明るく、レンズとしては一般的に高性能(高価)に分類されるわけです。
もちろん、AW100は防水仕様やGPS搭載など、レンズ性能以外の点でも魅力がたくさんあるので、ここではあくまでレンズの明るさで比較した場合、ということです。
オリンパス XZ-1
http://olympus-imaging.jp/product/compact/xz1/spec/index.html
ニコン AW100
http://www.nikon-image.com/products/camera/compact/coolpix/allweather/aw100/spec.htm
では、F値が少ない、明るいレンズとはどんなレンズなのでしょうか?
詳しくはおいおいと解説していきますが、ここではデジタルカメラの機種選びのためにざっくりとお話しします。
明るいレンズほど、暗めの場所での撮影に強い、ということが言えます。
例えば、室内での撮影。
体育館で発表会やスポーツの撮影を行う場合、被写体が動くので、ブレた写真になりがちです。ブレないようにするにはフラッシュ(ストロボ)を使うのが一般的ですが、体育館の撮影やスポーツ撮影、ライブ撮影などはストロボ禁止も少なくありません。
そうなるとブレないようにするにはシャッター速度を速くして撮影したいところです。体育館の中が暗めだとどうしてもシャッター速度は遅くなりがちですですが、しかし、レンズが明るく、より多くの光を取り込むことができるなら、シャッター速度を速めに設定できるので手ブレを防ぎやすい、のです。
つまり、明るいレンズというのは、必ずしも明るい写真が撮れるレンズということではなくて、光をたくさん取り込むことができるレンズ、ということなのです。
同様にブログなどに掲載するために、ディナーを飲食店で撮影する際、お店が暗くて、ストロボも使えない、という状況でも、明るいレンズや明るいレンズを積んだカメラの方がブレずに撮影しやすいことになります。
今ご自身が愛用しているカメラのレンズのF値がいくつだろう? って思いましたか?
一般にレンズのF値はカメラやレンズに書いてあります。
一眼レフやミラーレスはレンズが交換式なのでレンズ自体に書いてあります。
コンパクトデジカメの場合は、レンズと一体式なのでカメラ本体に書いてあるかもしれません。
注意点としては「F値」とは書いていない場合があります。
再度、冒頭に写真に登場してもらいましょう。右の写真は一眼レフのレンズ部分です。「1:2.8」という表記が見えると思いますが、それがF値で「F2.8」を意味しています。
コンパクトカメラの場合も下の写真のように「1:XXX」と表記されている場合は「XXX」をF値に読み替えるとレンズの明るさが解ります。
今回はカメラの機種選びやレンズ性能を見るために、レンズの明るさを示す「F値」を解説しました。次回はF値にはなぜ「xxxx」〜「xxxx」と範囲で書かれているものがあるのかを解説します。
また、実はF値は撮影時は「絞り値」として使われる数値です。そのあたりも今後の回でしっかりと解説していきますのでお楽しみに。
▲ Text : 神崎洋治 (TRISEC International,Inc.) Google
>> 次の記事 カメラのF値とは? (2) レンズの価格はF値で決まる?
デジタルカメラの選び方
序章 デジタルカメラの選び方 きれいな写真が撮れるカメラを見分けるポイント
レンズ選びとF値
1. レンズのF値とは? カメラのf値ってなに?
F値で明るいレンズのカメラを選ぶ方法
〜カタログからF値を読み解き、レンズの明るさ性能を知る〜
2.レンズの価格はf値で決まる?
キレイな写真を撮りたいならF値と明るさで選ぶ
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