最も重要なのはシャッター速度(1)
手ぶれと被写体ぶれを防ぐ高速シャッター

(2013/08/29)

著者:神崎洋治

「ハンマーヘッドの写真を上手に撮りたい」

「同じチームの他の人は綺麗に撮れているのに
 どうして自分が撮った写真はうまく撮れないんだろう」

そんな相談をよく受けます。

ハンマーヘッドシャークは実に魅力的です。その大きさやデザインだけでなく、太陽の光を受けて銀色に輝く筋肉質のボディはなんとも言えません。被写体としても是非、ベストショットをカメラに残したい、と感じますよね。

下の 写真1 は今年の夏に私が神子元島で撮ったハンマーヘッドシャークの群れの写真。潮は青いものの透明度が今ひとつでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真2 は以前、私が撮った写真です。「絵みたいな写真ですが、どうやったら撮れるんですか?」とよく聞かれました。この頃はすべてマニュアル操作の撮影で苦労しましたが、デジタルカメラの進歩で今では楽になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 


写真3 は電子ブック写真集「神子元島 ~ハンマーヘッドシャークが来る海 記録写真集~」より(撮影:海遊社ガイドチーム)。この大迫力に遭遇したら、自分のカメラに写真として残したい、と思いますよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、このハンマーヘッドシャークを綺麗に撮る、というのが意外と、結構、難しい。神子元島はダイビングも他のポイントとは少し異なっていますが、撮影についても少し独特のところがありますよね。そのため冒頭のような相談をよく受けるわけです。

 

そこで今回、私が普段、神子元島での撮影で実践していること、ポイントにしていることをもとに、カメラ撮影の基本の話しからアドバイスをしたいと思います。

なお、使っているのはコンパクトデジタルカメラです。
では、第一のポイント!!

■一番の課題は"シャッタースピード"

失敗写真の理由はひとつとは限りませんが、神子元ではストロボなしのワイド撮影が一般的(世界的に見ると、ハンマーにはストロボを禁止しているところもあります)。ストロボなしでハンマーヘッドシャークなどを撮った場合、全自動モードで撮っている人は特に「ブレ」と「ピンボケ」が失敗写真の主な原因です。

そこで、まず「ブレ」について考えてみましょう。

ピンボケだと思っていても失敗写真の原因が「ブレ」にあるのは意外と多いのです。また、多くの人が冴えない写真の原因が「ブレ」にあることに気付いていません。

例えば同じチームの人が撮った写真のハンマーがシャープで輪郭がはっきりと写っているのに、自分の写真はなんとなくボヤっとした、ピントがぼやけたような写真だったとしたら、それは「ブレ」を疑ってみます。

ハンマーヘッドシャーク発見!! ついに撮ったぞーっ!! ってみたらこの写真4…よくありませんか? これはピンボケではなくて手ブレ。いまいちボヤんとしていますね。シャッタースピード(露光時間)は1/40秒の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ブレには「手ぶれ」と「被写体ぶれ」がある

ブレには「手ぶれ」と「被写体ぶれ」があります。手ぶれは持ったカメラが撮影時にブレること、ガクガクとブレたり、わずかながらブレたり、と様々ですが、手ぶれの症状もまるでピンボケのように眠たいボケた写真になります。

被写体ブレはサメがササッと素早く動くことで発生してしまいます。神子元島ではワラサに巻かれているときのダイナミックな写真がよく撮られますが、素早く泳ぐワラサがブレていたら、それは被写体ブレかもしれませんね(ブレによって速さを表現する手法もありますので、この場合は必ずしもブレが失敗とは限りません)。

これは理屈上の話ですが、"透明度がよい状態でハンマーヘッドシャーク"を撮ったとすると、成功写真の場合、目やエラ、クチや歯までもが写っているはずです。理屈上ですよ。しかし、水中では暗いので多くの場合、わずかながらも「ブレ」てしまい、そこまでは鮮明に写りません。

あえて撮影テクニックの面から言うならば、手ぶれをしないように身体や腕をしっかり固定して撮る、「脇を締めて絞り込むようにして撮るべし、撮るべし!! 撮るんだジョー!!」という声が聞こえてきそうですが(聞こえない)、まぁ、そんなことが重要になりますよね。その点ではハンマーを追っかけながら撮る、なんてのは撮影状況としてはかなり悪い、無謀に近い、ということになります。

下の写真5は・・ハンマーヘッドシャーク発見!! アドレナリン全開、みなさん血まなこになってカメラを構えます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

手ぶれ…これが実に厄介です。水中では身体も腕もピッタリと固定することは難しく、ましてや神子元のように、泳いでいるか、流れに逆らって根につかまっている状態で身体やカメラをぴったり固定するのはとても困難です。

じゃあ、どうすればいいの? ということですよね。

前置きが長くなりましたが、実は「手ぶれ」にも「被写体ぶれ」にも有効な方法があります。それは「シャッタースピードを速くして撮る」ということです。

シャッタースピードを速くして撮る…例えば、サッカー選手のヘディングシュートの瞬間、カワセミが急降下して獲物を捕らえる瞬間、目で追えない速さでさえも、シャッタースピードを速くして撮るとその瞬間の様子をバッチリ止めて撮ることができますね。

水中写真もそれと同じこと。シャッタースピードを速くすれば、手ぶれも被写体ブレもバッチリ止めてハッキリとした写真を撮ることができるのです。

できるできないを別にして、高速なシャッタースピードを使えば、ハンマーヘッドはバッチリきれいに撮れます。

■高速シャッターが見せる世界

この写真6を見てください。

トリミングはしていますが、明るさや色合い、コントラストやシャープネスはいじっていません。この写真に成功のヒントがありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある意味、驚愕の写真です。この日の神子元は海色も緑がかり、浮遊物も多く、いわゆるニゴニゴ、透明度のよくない状態なのは写真を見れば一目瞭然かと思います。海中は暗く、撮影するにはかなり悪い海況です。普通で考えれば、そんなときにハンマーヘッドシャークを撮っても、ボヤボヤの影のような写真になるだろうな、と想像します。

しかし、このハンマーヘッドの写真はそんな環境でも鮮明に写っています。頂いたまま、色合いやコントラスト等の補正はしていません。

輪郭やボディの筋肉の質感はもちろん、エラまで鮮明に写っています。
コンパクトデジタルカメラで、どうしてこんなにきれいに撮れるのでしょうか?
これが1/500の(水中では)高速なシャッタースピード(露光時間)が写しだした世界なのです。

週刊デジマガ : 水中写真撮影の基本テクニック 特集 第01回 神子元島でハンマーヘッドシャークの写真を撮る (2013/08/29)

 

 

 

 

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

写真6

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著者:洋治神崎

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